従来のむし歯治療と接着治療
従来は、詰め物の接着に 「歯科用セメント」 を用いていました。
しかし、歯科用セメントには接着機能がないため、詰め物が外れないようにするために歯に 「嵌め込む」 方法でした。小さなむし歯でも健康な部分まで大きく削る必要があったのはそのためです。
これに対して、「接着治療」 では、歯をなるべく削らず、今ある歯をできるだけ残して治療できることが大きな特長です。
強力な歯科用接着材を使用して、詰め物や被せ物をしっかりと 「接着」 しますので、従来の治療法と比べ、歯を削る部分が最小限ですみます。
これは、水分の多い口の中でも接着力が劣化しない 「歯科用接着材・スーパーボンド」 を世界で最初に開発した、増原英一先生ならびに中林宣夫先生の功績によるものです。
歯を大きく削り嵌め込んでいるだけ
従来の治療
セメントで嵌め込んでいるだけで、接着されているわけではないので、セメントが劣化して流れ出すと隙間ができてしまい、二次むし歯のリスクも高まります。
最小限に削ってしっかり接着
接着治療
接着治療では、詰め物や被せ物と歯を、強力な歯科用接着剤である 「スーパーボンド」 にて、しっかりと接着します。
「割れた歯」 「折れた歯」 と接着治療
歯を失う原因のほとんどは、「むし歯」 と 「歯周病」ですが、もうひとつ大きな割合を占めているのが 「歯の破折」 です。歯はとても硬い組織ですが、硬いだけに脆いところもあり、割れたり折れたりするトラブルが起きることがあります。
この歯の破折には、歯冠(口の中に見えている白い歯の部分)の破折と、歯根(歯の根の部分)の破折があります。
歯冠破折は、転んだりぶつけたりという事故で歯に強い外力が加わったことなどが原因で起きますが、歯根破折が起きてしまう原因には見逃せない深刻な問題が含まれているのです。
当院の会長である、眞坂信夫は、1998年の段階で、朝日新聞にて、 「これからは破折歯がどんどん増える」 という予測を述べ、その理由として、破折の原因のひとつが、従来行われてきた金属の支柱(メタルコア)と接着力のないセメントを用いた、いわゆる「さし歯」の治療法そのものにあると指摘しています。
今でこそ、新しい支柱材料や強力な接着材が実用化されていますが、従来の金属を支柱にした治療を行い、10年~20年を経過した方々には、加齢による象牙質の脆弱化も加わり、 「破折歯がどんどん増える」 ことが今まさに起きているのです。
一般的に破折した歯は抜歯の対象となっています。
しかし、接着治療の進歩により、割れた歯も抜かずに残せる場合が多くなりました。あきらめずに診断を受けることをお勧めします。